柘製作所 黒船煙管

手巻きタバコを巻き巻きするには、それなりに手間と時間がかかります。
なので暇な時間を見つけては巻き巻き。
備蓄が無くなれば嗜む前に巻き巻き。

それなりに楽しんで巻いているのですが、それでも巻き巻きの回数が多いのでは? と思わずにはいられません。

なので、もう少し手軽にシャグを嗜む方法はないのかな? とグーグル先生に尋ねてみました。

数時間ほど調べ。
最終的に候補に挙がったのは煙管(きせる)です。
煙管は煙草の増税にともない売り上げが増えたとかどうとか。
とにかく地味に人気が再燃しているようです。

人気があると聞いては黙っていられません。
知識がないながらも色々調べ、これぞと思う一本を選びました。

それは――。
柘製作所(つげせいさくじょ)の黒船煙管です!
特徴としては低価格、金属製、分解可能、大きな火皿(ひざら)となっています。

金属製で分解できるので掃除がしやすいとか。
もう、これだけで選んだと言っても過言ではありません。
いつの世もそうですが、掃除洗濯は手短に労力をかけずにできた方が嬉しいのです。

これが吉と出るか凶と出るかは分かりませんが、初めての煙管。存分に堪能したいと思います!

外観

江戸時代から嗜まれていた煙管。
それが今、わたしの手元にあります!

まあ、どことなく現代的な風貌をしていたり、ガンメタルのような色味をしているので情緒を感じづらいのですが……。それでも、この形を見るだけでとても感慨深いものがあります。

そして、煙管を手に入れてまずやることと言えば……。

花魁ごっこ!

誰もがやるはずです。
でも、廓言葉は喋れません。
なので、ただただ語尾に「ありんす」を付けて楽しむという情けない状態に。これはこれで愉快なのですが、いささか見るに堪えません。

しかも、この煙管の長さは16cm。
花魁が使う煙管は20cm-40cmと言われているので、この煙管で花魁ごっこをしても様にならないのは言うまでもありません。

各部品はネジ式になっているので、クルクルと回せば火皿(ひざら)、雁首(がんくび)、羅宇(らう)、吸い口に分解することができます。

この機能のおかげで掃除が楽にできるとかできないとか。
普通の煙管というものに触れたことがないので何とも言えませんが、もしそれが事実でしたらとても嬉しいです。

準備

初煙管で使うシャグはコルツ・バニラ!
アークロイヤル・パラダイスティーと悩んだのですが、ここはやはりバニラです。

パウチからシャグを摘まみ、指で軽く丸めてから火皿に詰め込みます。
詰め込む量は手巻きタバコの3、4割くらいでしょうか。どれくらいが適正なのか見当も付かないので、自分の直感を信じて適当に入れてみました。

喫味

煙管は葉巻と同じく口腔喫煙で嗜むようです。
もしかしたら煙草と言うのは口腔喫煙が基本なのかもしれません。肺喫煙は紙巻煙草が出来てからなのでしょうか?
良く分かりませんが、慣例に従うというのは、わたしの数少ない美徳のひとつなので、それに従い初煙管を堪能したいと思います。

煙管の吸い口を咥え、軽く吸いながらライターの火を火皿に近づけると――面白いくらい火皿に向かって火が吸い込まれていきます。

ちろちろと火種がついているのを確認してから、軽く吸い込むと――。
バニラの香りが口の中に広がり、手巻きで嗜むよりも濃厚な喫味を堪能することができます。

――が、ほのかな金属臭も。
掃除のしやすさを考えて金属製の煙管を購入したので仕方がないのですが、やはり少し気になります。

何回か使えば金属臭はしなくなると言われているのですが……。
どうなのでしょうか?

少なくとも三口、四口と吸い続けると気にならなくなるのですが、これは金属臭が消えたというよりも、慣れたと言った方が適切なような……。
もう少し様子を見てみます。

ちなみに、喫煙時間は一般的な紙巻煙草と同じくらいでした。
途中で火種が消えたりと、一筋縄ではいかないこともありますが、とても楽しい時間を過ごすことができました。

なによりも、煙管を嗜んでいるという行為自体が面白いです!

でも、気恥ずかしさのあまり、これを喫煙所で嗜むことはできません。
なので家専用。と言うことになりそうです。

掃除の仕方

煙管を使うと中にヤニが溜まります。
ヤニが溜まると羅宇(らう)が詰まったり、吸い口に流れ込んで来たりととても大変なことになるそうです。
なので定期的に掃除をしなければなりません。

普通は無水エタノールと煙管用モールを使って掃除をするのですが、どちらも消耗品。
さすがに無水エタノールを精製することはできませんが、煙管用モールは他の物でも代用できそうな気がします。

そこで買ってきたのが、100円ショップで売っているストロー用の掃除ブラシです。

それでは、掃除をしてみます。

まず黒船煙管を4つに分解します。
分解した煙管はティッシュなどの上に置いた方が良いかもしれません。机が汚れます。

その後、小さな容器に無水エタノールを入れてストローブラシを浸し、ストロー用の掃除ブラシで煙管の中をゴシゴシするだけです。

時間は10分もかかりません。
簡単です。

あとは水洗いして乾燥させるだけ。
乾燥後は念のため吸い口から息を吹き込んだ方が良いかもしれません。
それをやらないと煙管の中に残っている水を吸い込んで、憂鬱な気持ちになる可能性があるからです。

結論

火皿が大きいと言われている黒船煙管ですが、それでも手巻煙草半分程のシャグしか使いません。もしこれが一般的な煙管でしたら3割程しか使わないことになります。
節約という観点で考えれば最高の喫煙具と言わざるを得ません。

ですが、3日から1週間に一度とは言え、お手入れをするのが地味に面倒臭いです。とくにこの黒船煙管の構造として、こまめに掃除をしないと火皿と雁首の接続部分からヤニが漏れてベタベタに。

分解できるからこそ掃除が楽なのですが、それが原因でヤニが漏れるという奇妙なジレンマに陥っているのです。

なので、お手入れは簡単だけどまめに掃除をしなければいけない煙管か、お手入れは面倒だけどそこまで掃除をしなくてもよい煙管か――。
何とも言えない悩ましい問題を抱えています。

しかし、楽しいのは事実。
遥か昔の江戸時代に思いを馳せながら火皿から立ち上る煙を眺め、風情を感じる。このような情緒は他の煙草で味わうことができない特別な時間を過ごすことができます。

黒船煙管は価格も安く、分解もでき、金属製で丈夫なので、煙管に興味を持った方が最初に購入する一本としてはおすすめだと思います。