フカシロ 洋白 都上石州

大寒差し迫り、息も凍るような寒空のなか、とても大好きな漫画「ハクメイとミコチ」の最新刊(8巻)を買ってきました!
ほくほくです。

この漫画を読むと、どことなく優しい気持ちになれたり、このような生活を送りたいなと思ったりするのですが……。

なんと!
今回は煙管のお話しがありました!

題名は『羅宇と炉端焼き』。
煙管の簡単な説明はもちろんのこと、喫味や羅宇(らう)に対するこだわりまで見事に描かれています。
その中で最も感銘を受けた台詞は――。
「羅宇は煙草の味を左右する。煙管の要と言ってもいい」という言葉。

雷に打たれたような衝撃を受けました。
わたしが過去に書いた煙管の記事は掃除のし易さばかりで美味しさの追求をしていません。ただただ羅宇が竹だと掃除が面倒臭そうという理由で避け続けていたのです。
これではいけないと猛省し、初心に戻ることにしました。

そして、読み終えた直後に購入したのが――。
フカシロ 洋白 都上石州(ようはく みやこじょうせきしゅう)です!

価格は2500円ほどでしょうか?
羅宇が竹で作られている煙管のなかで最安値だったので、これにしてみたのですが……どうなのしょう。
漫画の影響を受けすぎて深く考えずに購入してしまいました。

まあ、それでも羅宇が竹で作られている煙管は初めてなので、楽しみで仕方ありません!

外観

煙管と言えばこの形。
羅宇煙管(らうきせる)です!
専門的な言い方をすれば都上石州!
江戸時代の大名であり茶人でもあった片桐石州(かたぎり せきしゅう)が好んで使った煙管の形状を石州と呼ぶそうで、この都上石州は石州の亜種に違いない! と勝手に解釈しています。
そもそも、どちらも似たような形をしているので、何がどう違うのか皆目見当がつきません。
でも、名前が違うということは、きっと何かが違うのでしょう。

そして、洋白(ようはく)。
最初はこの煙管の名前だと思っていたのですが、どうやら銅と亜鉛とニッケルを使った合金のことだそうです。

つまり、なにかとても雅な響きがする「洋白 都上石州」という言葉は煙管の材質と形状が書かれているだけということに……。
この煙管は名前すらない可哀相な煙管なのです。
黒船煙管や丸福煙管のように何かそれらしい名前をつけてあげれば良いのにと思わずにいられません。

喫味

初めて嗜む喫煙具で着香系を使うのは邪道というもの。
正道を歩むのでしたら小粋などの刻みを嗜むのですが、それなりに高価な代物なので、わたしはあえて中道を歩み、非着香・無添加のぺぺ・リッチグリーンを嗜みたいと思います。

それでは、早速。

火皿に火を近づけ、軽く吸い込むと――。
煙草葉の甘味と羅宇から溢れる青々しい若竹のような香りが口の中を満たします。

これは――。
とても美味しいです!

羅宇が変わるだけで、ここまで喫味に違いがでるものなのでしょうか?
火皿や雁首、吸口は他の煙管と同様に金属で作られていますので、金属臭を感じたり、喫味もあまり変わらないのかなと思っていたのですが、吸い心地がまるで違います。

煙は優しく、ほのかに香る竹の香り。
今まで不快に思っていた金属臭の金の字すら感じません。
これは金属製の煙管で慣れてしまったというのもあると思うのですが、それでもそこはかとない安らぎを感じます。

漫画で語られていた、「羅宇は煙管の要」という言葉。
本当でした。

まあ、物語の影響を受けてそう思っているだけなのかもしれませんが……。
それでも本当に美味しく嗜むことができました。

掃除

この煙管は雁首、羅宇、吸口を分解することができるのですが、固すぎて簡単に取り外すことはできません。
また、何度も分解を繰り返すと羅宇が緩くなってしまうそうです。

なので、普段の掃除でしたら無水エタノールに浸けたモールやストローブラシを吸口から入れて掃除をし、汚れが酷くなってきたら分解して大掃除をした方が無難だと思います。

ちなみに、羅宇が竹でできている煙管は熱湯で掃除をすることができないそうです。
羅宇がふやけて駄目になるとかならないとか?
試したことはありませんのでどうなるのか分かりませんが、ここは素直に先人の知恵を拝借した方が良さそうな気がします。

結論

漫画の影響を受け、勢いで買ってしまったのですが、煙管の奥深さを感じられる一管でした。

掃除の手間さえ気にしなければ、初めて購入する煙管はこれで良いような気がします。

ただ、耐久度は金属製の煙管よりも低いです。
羅宇が竹で作られていますので当然と言えば当然なのですが、いつかお別れする日が来ると思います。ですが、雁首と吸口は金属なので、いざとなれば羅宇だけを付け替えて使い続けることもできるはず。

漫画の中では竹以外にも楓や埋もれ木、珊瑚、水晶、ガラス、魚の骨、カニの脚といった珍妙なものまで羅宇として使っていましたので、何でもいけそうな気がします。
これはこれで面白そうなので、機会があれば是非試してみたいです!