BBB152とゴールデンブレンド・バニラ

年末の大掃除。
普段でしたらそこまで大掛かりなことはしないのですが、今回はなぜか色々なところを片付けたり、模様替えをしたりと、なぜここまでやってしまったのでしょうかと後悔してもしきれないほどの大掃除をしてしまいました。

でも、それに見合う報酬を見つけたのです。

それは――。
謎のパイプです!

おそらく祖父が使っていたものだと思われます。
なので、購入時期はもちろんのこと、商品名や価格も分かりません。
ただひとつ言えるのは、ボウル上部に酷い焦げ付きはあるものの、それ以外は新品と見紛うほど綺麗な状態なので、数回、もしくは一回だけ嗜んで飽きてしまったのでしょう。
とても勿体ないです。

こうして出逢ったのも何かの御縁。
長年忘れられていたこのパイプを現代に蘇らせ心行くまで堪能したいと思います!

BBB 152

とは言え、このパイプの正体がまったく分かりません。
なので、数少ない手掛かりである巾着に書かれている文字とパイプに刻まれている数字を使って調べてみることにしました。

その結果――。
このパイプは「Britains Best Briars(BBB、スリービー)」というイギリスの老舗で作られたパイプで、形状はビリヤード型。
素材はブライヤー(ヒースの木の根っこ)となっています。

そして、「bbb 152 pipes」で検索をし、出てきた海外のサイトを見てみると――。
価格は187.99ポンドと書かれていました。
日本円にして約26000円……。
祖父のものだから5000円位のパイプなのでしょうと高を括って雑に扱っていたのですが、どうやらとても高価なパイプのようです……。

まあ、同系列の安物という可能性も捨てきれませんが、それでも、それなりに良いパイプなのかもしれません。

ゴールデンブレンド・バニラ

パイプを嗜むにはパイプ葉が必要です!
まあ、シャグでも嗜むことができるようですが、折角のパイプなのですからパイプ葉で嗜むというのが道理というもの。

なので煙草屋さんに行って買ってきました!
ゴールデンブレンド・バニラを!

正直に申し上げますと、何を買えば良いのか皆目見当がつきませんでした。
あれやこれやと色々悩んでいたのですが、このゴールデンブレンド・バニラのパッケージには、「初心者の方にもおすすめです」と明らかに初心者を惑わす文言が書かれていたのです。

右も左も分からない身の上。
そのような者に差し伸べられる手。
わたしは迷わず、このコーヒーのような名前のパイプ葉。ゴールデンブレンド・バニラを手に取りました。

価格:1530円
内容量:50g
グラム単価:30.6円

準備

パイプ煙草を調べていて分かったことが幾つかあります。
その中で最も注視したのは、誰でも簡単に美味しく嗜める代物ではないということです。
パイプを嗜むには、それなりに技術が必要なようで、最悪の場合はパイプが破損したり、舌を火傷したりと、それはもう想像するだけで物怖じしそうな内容ばかりでした。

ですが、そのようなことで諦める訳にはいきません。
折角、大掃除で手に入れた報酬なのですから、数多の動画やブログを見て脳内でシミュレーションを重ね、鍛錬に鍛錬を積みました。

これで完璧です。

それでは早速、準備をしたいと思います。
まず、ボウルにパイプ葉を三回に分けて入れます。
一回目はふんわりと、二回目はそれなりに固く、三回目はもっと固く詰めるようです。他にも色々な詰め方があるようですが、この方法が一番多く書かれていましたので、この方法を採用しました。

そして、マウスピースに口を添え、ボウルにライターの火を近づけて息を吸い込むと――。
炎がボウルに導かれ、パイプ葉がふわりと膨らみます。
それをタンパーと呼ばれる道具を使って軽く押し込むのですが……。
わたしは持っていませんので、適当な木材を加工して作った自作タンパーで軽く押し込みます。
その後、また火をつければ、ようやく喫煙することができるのです。
初めてということもあるのでしょうが、たったこれだけの所作なのにとても疲れました。

喫味

準備をするだけでそれなりに時間がかかってしましました。
ですが、ようやく嗜むことができます。
楽しみで仕方ありません。

それでは早速、嗜んでみたいと思います。

マウスピースに口を添え、呼吸をするようにゆっくりと吸い込むと――。
甘くて濃厚な煙が口の中に広がります。
味の中心にいるのはフレーバー名のとおりバニラなのですが、他にもフルーツのようなスパイスのような香りが次から次へと押し寄せてくるのです。それが何の香りなのかはまったく分かりませんが、これだけは言えます。

とても美味しいです!

煙草葉が大きいからなのでしょうか。
紙巻煙草や手巻煙草と比べて煙がとても濃いのです。
一口嗜むたびに甘くて濃厚な煙が口の中に入ってくるのですから、美味しいと言わざるを得ません。

ただ、パイプ葉が半分くらいになると着香が薄くなってきます。
これは、わたしの吸い方が悪いのか、それともこのパイプ葉の性質なのか、はたまたパイプ煙草とはこのようなものなのかは分かりませんが、パイプ葉の量が減れば減るほど味が薄くなるのです。

とは言え、二度ほど火が消えたり、水(?)が溜まったりしましたが、約1時間もの間、この濃厚で美味しい喫味を堪能することができました。

掃除

普段でしたら何回か喫煙した後で掃除をするのですが、今回は長年忘れ去られていたパイプなので最初に掃除をしました。

掃除の仕方は、マウスピースを取り外して、マウスピースと煙道にモールを入れてゴシゴシするだけ。
これを一週間に一回ほどやれば良いようです。

まあ、わたしはモールを持っていませんので、マウスピースは無水エタノールに浸したストローブラシを使い、煙道は綿棒で掃除をしました。
明らかに問題が起きそうな掃除の仕方ですが、今のところ不具合はありませんので大丈夫だと思います。

ただ、ボウルの中はあまり掃除をしないそうです。
カーボンなるものが付着してパイプを丈夫にするとかしないとか。
良く分かりませんが、わたしのパイプにはカーボンが見当たりませんので、まだまだ先の話だと思います。

結論

紙巻煙草や手巻煙草、煙管、葉巻とはまったく違う喫味を経験することができました。
これを切っ掛けにコーンパイプやカピートも試してみたいなと思えるほど楽しかったです。

ただ、パイプ煙草には大きな欠点があります。
それは、パイプを持っている佇まいが似合うか、似合わないかという最も致命的かつ大きな問題です。
当然、わたしは似合いません。
なので、外出先で嗜むなんて言語道断。
家でひっそりと誰にも見られることなく嗜むしかありません。

また、節約とは無縁な気も……。
パイプ本体も高いですし、パイプ葉もそれなりのお値段がしますので、ここは本当の意味での嗜好品と割り切って一週間に一回だけ楽しむというのが正しいような気がします。

ひょんなことで出逢ってしまったパイプ。
この一本のパイプによって世界が広がったような気がします。これを機に、もう少し色々なパイプ葉を試してみたいなと思いました。