ミュリエル・コロネラ

先日、雨の中を嫌々ながらも買いに行った煙草、第二弾です。

煙草屋さんに着き、お目当てのスウィッシャー・スイート・フォイルパウチ・チョコレートを探していたのですが見当たらなかったのです。
店員さんに尋ねてみると「売り切れです」とのこと。
お目当てのものがなくなり何を買おうかと悩んでいるとき、ふと棚の上に視線を向けると茶色い箱が並んでいました。
手書きのポップには「ココアのような香り」と書かれていたのです。
チョコレートもココアも似たようなもの。
思わず手に取りレジに持っていきました。

それが、この――。
ミュリエル・コロネラです!

価格は五本入りで650円。
一本あたり130円と低価格帯の葉巻なのですが――その安さに惑わされてはいけません。

価格とは裏腹に「19世紀後半から20世紀初頭の大物や有名人の写真に写っている葉巻はミュリエルシガーの可能性が高い」と言われるほどセレブ御用達の葉巻なのです!

しかも、雑誌や看板、テレビを使った広告を大々的に打ち出していたようで、当時(1950-1970)のアメリカでは老若男女問わず知らない人はいないとまで言われた大人気の銘柄だそうです。

まあ、その真偽は定かではありませんが……。
それでも良い方へと勝手に解釈をしてつい嬉しくなってしまいます。
だって、その時代の誰もが嗜んでいたのですから、これもう絶対美味しいに違いないのです!
どのような喫味がするのか今から楽しみで仕方ありません。

ちなみに、1950年代の頃は一本10セントで販売されていたそうです。
当時の1ドルは現在の価格で10ドルほどですので、単純に円換算しますと約113円に。
価格はあまり変わってないようですね。

外観

針吹き出しには「ALL NATURAL FILLER」と書かれています。

……フィラー?
初めて聞く言葉です。
最初は「L」と「T」を間違えて「FILTER」なのではと思ったのですが、「全部天然のフィルター」と言うのもあまり釈然としません。

なので何か特別な意味があるのではと思い、調べてみますと――。

すぐに出てきました!
答えは葉巻を構成する中心部のことだそうです。
もう少し詳しく書きますと、葉巻は中心部のフィラー、それを覆うバインダー、そして外見を整えるラッパーの三層でできているのです!

つまり、「ALL NATURAL FILLER」を簡単に訳しますと、「中心部は全て天然だよ」となり、逆に言えばバインダーとラッパーは全部天然ではありませんと言うことになります。

わたしの知識不足ゆえ、これがどれほど凄いことなのか検討もつかないのですが、針吹き出しで書いているということは何か特別な意味があるのかもしれません。

一本一本丁寧に梱包されています。
今までは梱包がされていない葉巻ばかりでしたので、なにか上質な葉巻を見ているようでとても豪奢な気持ちになるのですが……。

このフィルム――。
なかなか開けることができません。
上や下やとフィルムを爪でカリカリとしているのですが全く開く気配がないのです。
なんて不便なのでしょう。
もっと開けやすくしてくれれば良いのにとハサミを使って上の方を少しだけ切ってみたのですが……それでも取り出せません。

そんなこんなで数分の格闘の末、ようやく気が付きました。
フィルムに張られているシールに「PULL」と印字されていることに。これを引けば簡単に開けることができたのです。
中身ばかり見ていて気が付きませんでした……。

喫味

手にした葉巻の吸口を見て、もしかしたらシガーカッターが必要なのでは……と一瞬不安を覚えました。
でも、よくよく見てみると吸口に小さな穴が開いています。
おそらくこのまま嗜むことができると思うのですが……このような形は初めてなので不安を禁じ得ません。

ですが、ものは試し。
とりあえず嗜んでみたいと思います。

葉巻に火をつけ、軽く吸い込むと――。
吸口の小さな穴から上品でやわらかい煙が流れ込み、ほのかな甘みとほろ苦さ、そして香ばしい香りが口の中に広がります。

これは――。
美味しいです!

重くもなく軽くもない喫味は心地よく。
煙をふうと吹くとココアのような甘い香りが鼻をくすぐります。

1950年代のアメリカで一世を風靡した葉巻を嗜むというのはとても不思議な気持ちになります。
それはとても感慨深く、そこはかとない郷愁を感じずにはいられません。まあ、アメリカに行ったことは一度もないのですが……。

それでも、個性的なクセはありませんし、吸口が小さいので煙草葉が口に入ることもありませんのでゆるりと40分ほど楽しむことができました。

結論

1950年代の大物や有名人が高級な葉巻を差し置いてミュリエルシガーを嗜んでいたと言うのはいささか腑に落ちませんが、わたしのような庶民にしてみれば普段味わうことができない優雅な一時を堪能することができました。
これぞ嗜好品です!

このような葉巻を嗜むようになってからまだ日が浅いのですが、わたしの好みといたしましてはスウィッシャー・スイートよりもミュリエル・コロネラの方がお薦めなのかなと思ったりしています。

とは言え、両方とも葉巻としては安いので、興味のある方は両方とも試してみるのも面白いのかもしれません。