いろは

「色は匂へど散りぬるを、我が世誰ぞ常ならむ――」
同じ言葉を重複させない有名な歌。
いろは歌です!

歌の内容は諸行無常や是生滅法を説いているお経のようなもので、どことなく陰鬱で薄暗さを感じるのですが……。

それは過去の話。
今、「いろは」という言葉は和の代名詞として君臨しているのです!
これは日本人に刻み込まれた本能とでも言えば良いのでしょうか。
この文字が書かれていれば、どのような物でもたちまち和の趣を感じることができるのです。

それは煙草でも同じこと。
むしろ煙管用の刻み煙草だからこそ、この名前が付けられたのかもしれません。

そう、今回ご紹介いたしますのは――。
細刻み煙草「いろは」です!

価格は700円(30g)。
グラム単価は――なんと、23.3円!
刻み煙草なのにシャグと同じ価格なのですから驚きを隠せません。
この価格でしたら煙管に限らず、手巻煙草として嗜んでも罰が当たることはないような気がします。

とは言え、せっかくの細刻みなのですから煙管で嗜むのが王道と言うもの。
巻き巻きして嗜んでみたいなあと言う気持ちは大いにあるのですが、ここはぐっと我慢。
今回は素直に王道を歩み、煙管で嗜みたいと思います。

価格:700円 720円
内容量:30g
グラム単価:23.3円 24円

外観

いっぷく莨。
なにやら見慣れぬ漢字がパウチに書かれています。
もちろん、平仮名で書かれている「いっぷく」は読めます。
問題はそのあとです。

草冠に良。
なんと読めば良いのか分かりません。
一応、ブログで感想を書いている身の上。知らぬ存ぜぬで白を切るのもいかがなものかと思い、調べてみますと――。

音読みで「ロウ」。
訓読みで「たばこ」「ちからぐさ」と読むそうです。
なるほど、と得心いたしました。

あとは読み方なのですが……。
「いっぷくろう」はどことなく語感が悪いですし、「いっぷくちからぐさ」は論外だと思いますので――。

「いっぷく莨」は「いっぷくたばこ」と読むに違いありません!

――と、感嘆符まで使って自信たっぷりに書いているのですが、もしかしたら「いっぷくろう」の可能性も……。
正しい読み方は謎のままです。

ちなみに、いろはは煙管用刻み煙草なので巻紙は入っていません。

喫味

小粋は「加湿してね」と煙草屋さんに言われたのですが、「いろは」は何も言われませんでした。
実際に中の煙草葉は程よく湿っているようで、指先でくるくると丸めても粉々になりません。
なので、このまま嗜んでみたいと思います。

火皿に火を近づけ、軽く吸い込むと――。
なめらかな煙と力強くすっきりとした煙草葉の香りが口の中を満たし――ぷかりと煙を吹くと仄かな甘味が後を追いかけてきます。

これは――。
美味しいです!

全体的にきりりとしています。
公式サイトには「クセが少なくスムース」と書かれていたのですが、本当にクセがありません。
むしろクセが無さ過ぎて個性も感じられないほどです。
しかし、このように安定した喫味の煙草は驚きや面白みこそありませんが、何回嗜んでも飽きることがありませんので、末永くお付き合いできるような気がします。


結論

喫味だけでしたら小粋の方が好みなのですが……。
「いろは」は加湿をしなくても嗜める管理の楽さに加え、そしてなによりも価格の安さが魅力的なのです。
なので、まず間違いなく初めて刻み煙草を嗜む方にお薦めできます。

また、既に刻み煙草を嗜んでいる方でも、一度試してみるのも面白いかもしれません。