旧3級品煙草のわかば。
1966年から約50年ものあいだ慣れ親しまれ、嗜まれてきたであろう銘柄が、その長い歴史に幕を下ろしました。
これはとても寂しくもあり悲しい出来事です。
もし、同じ年に発売されたサッポロ一番しょうゆ味が廃止されるとしたら……。まあ、その方が数倍悲しみは深いのですが、それでも愛煙家の一人としては嘆かざるを得ません。
そんな愁傷冷めやらぬうちに思わぬ一報が届きました。
それは――。
新生わかば、わかば・シガーの発売です。
旧3級品から葉巻となって復活するそうで、価格は旧わかばと同じ360円。
10月の増税でも値上げはしないそうです。
もう二度とお目にかかることのない旧わかば、そして新しく生まれ変わったわかば・シガー。その両方を嗜むことができるなんて、煙草の歴史の生き証人になれるような気がしてとても心が躍ります。
もちろん飛びつきました。
今後嗜むことができなくなる旧わかばと一緒に。
外観
旧わかば(左)が草原の風に揺れる新緑の葉だとしたら、わかば・シガーは枯れ葉です。
良く言えば、落ち葉の中で芽吹いている新芽となるのですが……。
やはり枯れ葉に見えてしまいます。
ですが、このレトロな色味は大好きです。
映画「三丁目の夕日」に出てきても違和感が無さそうな佇まいに、昭和初期はこのようなデザインが溢れていたのだろうなと想像が膨らみます。
わかば・シガーの感想を書かなければならないのですが、つい旧わかばに付いている申し訳程度のフィルターに目が行ってしまいます。
この短いフィルターできちんと役割を果たせるのでしょうかと不安を抱いたのですが、よくよく見てみるとわかば・シガーと同じ長さでした。
それにしても、同じ銘柄の紙巻と葉巻を並べるというのは何かとても不思議な光景を見ているようで、言葉で言い表すことのできない奇妙な感覚に陥ります。
わかばの喫味
初めて旧3級品の煙草を嗜むのですが、方々からあまり美味しくないと聞き及んでいます。
ですが、もうそれは関係ありません。
廃止銘柄になってしまうのですから、美味しかろうが不味かろうが二度と嗜むことができなくなるのです。
ならば、今、嗜み、その全てを堪能しなけれななりません!
それでは、最初にして最後の旧わかばを嗜んでみたいと思います。
煙草に火をつけ、軽く吸い込むと――。
煙草葉のほのかな甘みと、若干の辛味、そして何か良く分かりませんが青臭い香りがします。
これは思い込みによるものなのでしょうか?
煙草で青臭い香りを感じたのは初めてなので、本当にそのような香りがしたのかどうか全く自信が持てません。
ですが、これだけは言えます。
言われているほど不味くはありません。
確かに雑味はありますし独特なクセのようなものあります。
それを美味しいとはとても言い難いのですが、あまり不快感はありません。むしろ、普通に嗜めます。
これは、あれでしょうか。
低評価から入るとつい身構えてしまい、いざ試してみたら想像よりもまともで高評価になる、みたいな感じだと思います。
なので、実際は普通の喫味なのかもしれません。
わかば・シガーの喫味
それでは、次にわかば・シガーを嗜んでみたいと思います。
リトルシガーで360円は若干高めの価格なので、流石に旧3級品の煙草と同じ喫味になるとは思えません。
なので、旧わかばよりも美味しいに違いないのです!
煙草に火をつけ、軽く吸い込むと――。
煙草葉のほのかな甘みと、ナッツのような香ばしさが口の中に広がります。
旧わかばで感じた雑味や青臭さはほとんど感じません。
とても上品に仕上がっていると思います。
美味しいです。
美味しいのですが、旧わかば特有のクセのようなものが全て無くなっているので、旧わかばが好きだった方は物足りなさを感じるかもしれません。
逆に旧わかばのクセが苦手な方は普通のリトルシガーとして美味しく嗜むことができるような気がします。
ただ、喫味は重めなので人を選ぶかもしれません。
結論
他のリトルシガーと比べて格別安いということはありません。
むしろ若干高めです。
ですが、吸いごたえという意味では群を抜いています。
今迄、色々なリトルシガーを嗜んできましたが、ここまで重い喫味は初めてです。
一本嗜むだけでお腹いっぱいになります。
なので、普段から軽めの煙草を嗜んでいる方は、重めの煙草だと思って試した方が良いかもしれません。
現在、旧わかばは在庫完売と同時に終売となってしまいます。
長い間、愛煙家を支えてきた「わかば」とこれからを担う「わかば・シガー」。これを機に吸い比べしてみるのも面白いかもしれません。